映画「青天の霹靂」 x アドラー心理学な考察

2014年12月28日日曜日

ストーリーから学ぶ 読書

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皆さんは、「晴天の霹靂」見ましたか? 今日は、「晴天の霹靂」を見て、アドラー心理学の重要なコンセプトの一つである「目的論」に関するストーリーだな、と感じたお話。

劇団ひとり、原作、監督、出演
大泉洋、主演

による一線では成功できず場末のマジックバーで働く大泉洋扮する主人公が、40年前にトリップし、自分の出生の秘密を知るという、「笑いと、たぶん一粒の涙の物語」




正直、私はこの映画の存在をキャッチしていなかったのですが、愛聴している、会社員が言語学者に本をおすすめして、感想を聞くという、妙なシチュエーションの本(や映画)の書評Podcast「ホンタナ」で、言語学者の方のナリタさんが一押ししているので知りました。

ホンタナ: 2014.7.22 「ツイスター」ヤン・デ・ボン
冒頭のフリートークで感想が出てきます。



予告編でも、出ているのでネタばれにならないと思うのですが、私にとって最も印象的だったシーンは、自分の出生の秘密を知った主人公が、父に対して、いや自分に対して放ったこの台詞です。(それにしても、予告編、ほとんどのネタ出し過ぎだろ〜)

そんなんじゃダメなんだよ!ろくでもねぇ、親父がいて、俺を置き去りにした母親がいて、だから、そのせいで俺の人生みじめなんだ!そうだろ!そんな自分の命かけて子ども生むような母親じゃ辻褄あわねぇんだよ!!

私は、ハッとしました。

そうか、これは原因論から目的論へと脱却して行くストーリーだ!

目的論は、「嫌われる勇気」で認知度の高まったアドラー心理学の中核的な考え方の一つです。原因論は、その名の通り、過去の出来事が今を形作っているという考え方。これに対して目的論は、行動には目的があり、過去の出来事は影響を受けないという考え方。

良く例えに出てくるのは、引きこもりになった子どもは、学校でいじめられてるから、親の育児に問題があったから、といった「原因」があると考えるのが原因論。これに対して、目的論では、引きこもりには「親の注目を浴びたい」、「学校よりもネットの世界で生きている方が楽しい」といった目的があると考えます。

私は、「嫌われる勇気」でこの考え方を認識したときに目からウロコでした。目的論は、非常に未来志向で、自分がこれからどうしていくか?に焦点を当てているし、過去は「自分で意味付け」するものである、という非常に建設的な考え方だと思ったからです。

ここで晴天の霹靂の先ほどの台詞をもう一度読んでみると

そんなんじゃダメなんだよ。ろくでもねぇ、親父がいて、俺を置き去りにした母親がいて、だから、そのせいで俺の人生みじめなんだ!そうだろ!そんな自分の命かけて子ども生むような母親じゃ辻褄あわねぇんだよ!!

主人公は、冒頭のシーンで、「いつしか自分は特別ではない」と認識した、と語っていますが、これは、自分の出生が今の自分を形作っていて、そんな自分だから成功できないのはしょうがない、と「しょうがない理由」を自分でこしらえていました。

しかし、そうではなかった、という真実を知り、彼の中の原因論による原理が崩壊してしまった。

主人公は、自分がマジックをする「目的」を新たに定義したに違いなく、だからこそオーディションのステージでは、過去から来た自分だからできるマジックではなく、鳩だしなど、父もやっていたマジックを盛り込みつつ、父が母に贈ったティッシュペーパーで作ったバラを、クライマックスに据えたのではないでしょうか?

ということで、「晴天の霹靂」、未来は自分で作り上げて行くことができ、それは過去によって規定されない。主人公が自分の過去にどのような意味付けをし、今にどのような目的を定義し、どのような未来を切り開いて行くのか、視聴者も自分と重ね合わせて考えさせられる年末年始にはもってこいの映画でした。

いや〜、それにしても、ホンタナでナリタさんが語るように、脂の乗った大泉様さんと劇団ひとりさんの演技がたっぷり味わえる一作でした。ところで、マジックのシーン、大泉洋さんは4ヶ月間、摩耶一星さんよりトレーニングを受けノン・スタントでやりきったそうです。

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<原作>
青天の霹靂 (幻冬舎文庫)

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<耳で聴くオーディオブック>
青天の霹靂
<参考図書>
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