(セミナーメモ)/アレックス・カー「現代日本が失ったもの」
本書は一貫して、日本の負の部分、陰の部分にスポットを当てる構成となっている。基本的には官僚の腐敗に関しての長編研究報告書というイメージ。
結構、上から目線な文章で(訳書なのもあると思うが)、かつ日本に関する批判をずっと読み続けるのは結構堪えるが、基本的に世の中の本ってポジティブなことばっか書いてあるものが多いし、選択的にそういうものをインプットしてしまうものなので、たまには良いですね。
著者の言う事ななんでもかんでも真に受けるつもりはないですが、ハッとさせられる部分も多数あった。
国よりも個人が強くなると言われている現代。やっぱり日本に住むという選択をしているとはいえ、盲目的に日本国自体を信用してはいけないな、と思わされました。
特に一番、面白いなと思ったのは、「日本は幼児化している」という指摘。
町中にあふれる放送や看板は注意を呼びかけているのは、当たり前になっているが確かに不思議。
また、分かり易いコンテンツ、「お笑い」であったり「かわいい」であったり。そんなコンビニエンスなコンテンツを大量消費している気がする。
アレックス・カーさんの講演と同日に聞いた
長沼毅さんの講演で彼は
”学校は「考えろ」というくせにに考え方を教えない
考え方の第一歩は「比較」
思うと考えるの違いにもつながる ”
とおっしゃっていた。(詳細はこちら)
日本の教育は、
「考えることなく、ただ受け身の人間」
を大量生産しようとし続けている
今、子供を2人持つ身になり
子供を教育する段階に入るまでに
自分自身の再教育をしないとな。
とも思わされたのでした。
さて以下は、付箋メモ
➡付箋読書法についてはこちら「読書術〜物理編〜」
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p.42
トータルコントロールは日本の長所、茶道や能、組み立てラインの品質管理を生み出した
トータルコントロールが近代テクノロジーと結びつき、自然環境へ向けられコンクリートジャングルを生み出したのか
p.69
産業界の国際競争力の強さは、ひとつには、有害廃棄物と環境破壊の費用をまったく無視して来たおかげである。
p.110
特殊法人で巨額の無駄遣いや債務各紙が行われる理由のひとつは、帳簿を公開する法的義務がないという単純な事実にある
p.131
日本の官僚制と他の先進国との一番の違いは、自分の管轄下の事業下の事業から官僚自身が利益を得られる構造になっているということだ。たとえば、天下りや、各省庁の組合が下請け企業の株をもったりすることだ。
p.133
官僚は権力を下に振るうだけでなく、上の方、つまり政界とパイプを作り強い影響を与えている。政治家はある省庁と組む。これを「族議員」と呼ぶ。
p.134 エアロビクスの規制
許認可、行政指導について、エアロビクスを例に説明
各省庁は新しい業態が出てくると、それぞれに資格を設定するとともに、その管理運用をする団体を作りだす。
p.172
京都は豊かな文化遺産に恵まれながら、パリやヴェネツィアのような国際観光都市にはなれなかった。海外から訪れる人の数は少なく、滞在日数も短い。特別に保護された名所旧跡を見終わったら − 何もない。
p.178
日本の修復テクノロジーは65年を境に成長を止め、以来、古いものをそのまま完璧に保存する方法しか考えてこなかった。そのため、古い建築の持つ温かみと雰囲気を、新しい建物に魅力的に活かそうにも、その手法を知っている人がいない。「テクノロジーの固定化」の結果、日本は「古い=不便」と「新しい=味気ない」という両極端のあいだで引き裂かれている。
p.200
東京は利用できる土地も少ないというので、地下に巨大都市を建設するという大手建設会社のプランが国土交通省のお気に入りである。人々は地下のアパートに住み、地下鉄に載って地下のオフィスビルに出勤するわけだ。将来の都民は、昼の光を見る必要性はもうない。日照権を守ろうとした結果がこれである。
p.212
よくある誤解のひとつに、日本は人口に見合う国土がたりないという思い込みがある。「人口が多すぎる」せいで地価が高いとだれもが信じ込んでいる。だが、実際には、ヨーロパでは日本と同等の人口密度の国が大半である。もうひとつの土地にかんする神話では、日本では急斜面の山が多いので人が住める面積が少ない。それでは「人が住める土地」とはどういうことだろう。急斜面は、昔ではトスカーナ地方、近代ではサンフランシスコと香港の発展に邪魔にはならなかった。問題は土地の使い方にあるのだ。
p.269
日米の利率の差を10%とすれば、アメリカ人が日本人の三分の一しか貯蓄しないとしてお、だいたい20年で預金全額はならんでしまう。さらに10年経てば、アメリカ人の預金金額は日本人の二倍になる。
p.272
極端な低金利は年金基金にも深刻な影響を及ぼしている。91年、アメリカの年金基金が28%という大幅な運用益をあげたのに対して、日本の年金基金の運用益はわずか1%。
p.307
先進国の名だたる学府で、世界にも時刻の社会にこれほど貢献していない大学はまずないだろう。日本経済新聞が書いている様に、エリート大学の仕事は「出来上がった製品にラベルをはり、出荷する『缶詰工場』に似ている。『工場』からは『○○大学』といったラベルを貼られた『均質な製品』しか出荷されない」。
p.316
戦後日本の教育システムは、日本の次世代を幼児化しようとしている。どこに行っても「危険!」と「危ない!」の渓谷が鳴り響いている事は、心理学的な研究が必要だと思わせる。
p.351
80年代末のバブルの時代、アメリカの大学十数校が日本に分校を開設した。しかし、文部省が卒業資格認可をあたえなかった
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