世界的コンサルタントの秘密の0から1を生み出す15の発想法

2016年8月16日火曜日

ノウハウ ビジネス 読書

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マッキンゼーのアジア太平洋地区会長や、マレーシアの国家アドバイザーを務めるなど、世界的なコンサルタントであり、経営学のオンライン大学ビジネスブレイクスルー大学大学院(BBT)の学長でもある大前研一氏の秘密の15の発想法が書かれた「「0から1」の発想術」のレビューです。


<発想法一覧>



  1. 戦略的自由度
  2. アービトラージ
  3. ニュー・コンビネーション
  4. 固定費への貢献 
  5. デジタル大陸時代の発想
  6. 早送りの発想
  7. 空いてるものを有効利用する発想
  8. 中間地点の発想
  9. RTOCS/他人の立場に立つ発想
  10. 構想
  11. すべてが意味することは何?(What does this all mean?) 
  12. 感情移入
  13. どんぶりとセグメンテーション
  14. 時間軸をずらす
  15. 横展開











1. 戦略的自由度

1.ユーザー目線で目的設定
2.達成方法の軸を洗い出し
3.軸毎に技術要素などを検討

事例は某社がコーヒーメーカを検討した際、ドリップ式か濾過式かと競合分析で軸が極小化。目的を美味しいコーヒーを飲むに設定することで、軸を豆、挽き方、水、温度など検討することで、これまでに無いコーヒーメーカーを提供。
これって、日本企業らしいけど、どこの事例なんだろ。



2. アービトラージ

・情報格差でサヤを抜く
 例:ユニクロのSPAによる中抜き、フィリピンのスカイプ英会話、インドのメディカルツーリズムetc
・固定観念にとらわれず、外からモノを見る
 例:GEのアンチ事業部「自分の会社をつぶす方法を考えろ」


3. ニュー・コンビネーション

大半の発明は、古くからあるものの新結合である(by.シュンペーター)。ある空間をみて、重複しているものをなくしてみる。
事例:PB(プライベートブランド)x高級=セブンゴールド。J-Phone(現ソフトバンク):カメラ付き携帯xメール=写メール。DeNA:写メールxオークション=モバオクetc
大前さんのローソンの打倒セブンのアイデア:ローソンx成城石井=ショップ・イン・ショップ(ローソン内に成城石井製品をラインナップ)


4. 固定費への貢献

売上に対して、比例して増える仕入れコストなどの変動費に対して、人件費や設備コストなどのように基本的に固定的にかかる固定費に着目して、それを最大限活用する。
事例:黒川温泉。温泉という固定設備を温泉街全体で共有化。どこでも3カ所まで入れる入湯手形の仕組みで全体で稼働率を向上。風呂(固定費)のオープン化、ネットワーク化で温泉街のバリューもアップ。その他、アメックス、ラストミニット・ドット・コム、クリーニング店
問題:平日の観覧車の稼働率をいかにあげるか?「平日の料金を安くする」が答えではない。もうひとひねりがある。ヒントは顧客グループのシールド化、ナローキャスティング。答えは本書をご参照。


5. デジタル大陸時代の発想

デジタル化、ネット化によるプラットフォーマー一人勝ちの時代。しかもスピードが早い。5年後にデジタル関連産業がどのようにネットワーク化(大陸化)するか予測する。ハードウェアはコモディティかが早いのでプラットフォーム足り得ない。特定の製品よりも、場から発想する。例えばテレビではなく、リビングルームで発想する。5年後にはリビングに置けるスマホのような存在が生まれているかも。プロダクトでなく、ライフスタイルで予測する。デジタルネイティブである若者の思い切った活用も良い。




6. 早送りの発想

新しい概念は実は既に存在していることが多い。先行的な事例・企業・個人(兆し)をカンニング&自分の発想で未来を想像(早送り)する。着目する兆しの例、グーグルの買収傾向、デロイトテクノロジーFast500。早送りの発想の実例:孫正義氏の「時間差攻撃」「タイムマシン経営」。


7. 空いてるものを有効利用する発想


一般的にシェアリングエコノミー、マッチングビジネスと言われているもの。地下鉄は、地下を線路に、iモードはパケット通信網を音声だけでなくデータ通信に、そしてUberは空いてる車と運転手をタクシーに、airbnbは空いてる部屋をホテルにした。その他、事例多数。昨今はインターネットによって、空いてるものが見つけやすくかつ、ユーザーとマッチングが容易になった。




8. 中間地点の発想


大きな枠の中にあるスイートスポットを見つける。AとBの2つの方法があるとき、その中間のポジショニングで差別化できないか考える。ただし、折衷案のようになってはダメ。業界スタンダードを捨てる発想。物理的な中間でなく、スペックなどの中間などもあり。
事例:新幹線の品川駅(東京・新横浜の間)。古いが、フィルム枚数で当時当たり前だった20枚と36枚の間の24枚。


9. RTOCS/他人の立場に立つ発想


Real Time Online Case Studyの略。名前の通り、実際の企業の答えのない「今」取るべき戦略案を世界的コンサルタントである大前氏が立案する、大前氏が学長を努めるBBT大学大学院のMBAコースでの名物コンテンツ。毎週課題として出されており、回答は映像コンテンツとしてBBT Channelでも見ることができる。
他人の立場になることで、普段と思考回路が変わる。4〜5人でブレスト的にやるといい。応用編としては、会社において自分の立場を2段階上のレベルで考える。



10. すべてが意味することは何?(What does this all mean?) 

大前氏が海外のトップと話をすると、質問される決まり文句。要するにどういうことか?個別のFactにとらわれて、木を見て森を見ずにならないにしようという発想。発想の例:少子化のビジネスチャンス。儲かる農業の発想。都心への立地から分析して田園調布より木場という発想。

事例を見ると事実の整理(分析)から帰納法的に本質を抽出していく際に、単純な要約ではなく、要するにこうすればこれらx個のFact(課題)を解決出来るはずだ、という発想の飛躍を試みるということで、クリエイティビティが必要な手法と感じた。まずは、帰納法を身につけて、要約していったものを裏返して解決策を考えられるようになるのが先決と感じた。


11. 構想

コンセプトより上の概念。構想>コンセプト・ビジョン>戦略>事業計画。目に見えないものを絵にすること。リアル・グローバル・サイバー・マルチプルという4つの経済をつなぐ発想。「早送りの発想(6/15)」「すべてがいみすることは何?(10/15)」などの組み合わせで発想する。事例:ディズニーリゾートはワニのいる湿地だった。ヴィーナスフォート。シティバンクほか。
大前氏のRTOCS(9/15)では、たまに、国や市町村などの長だったら、どうするか?というテーマがあるが、その回答の構想力には毎回うならされるものがある。



11の型と組み合わせる4つの発想法

これまで12の方法を「型」として、組み合わせて使える4つの手法が以下。


12. 感情移入

名前から、顧客への共感的なものを想像してしまったが、それも含まれるがもう少し違う意味もあった。製品自体への感情移入、どちらかというと情熱というほうが当たるようなイメージ。ナイキのフィル・ナイト会長が、マイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズに早期にスポンサー契約を結んだ例などを出していた。絶対どうにかしてやる、と課題にどっぷり浸かりきる、これも「感情移入」と表現していた。



13. どんぶりとセグメンテーション

セグメンテーションといえば。マーケティングの基本だけど、あまりに細かくセグメンテーションされているような市場では、ユーザー側がどれを選んでいいか分からなくなってしまっていることもある。そんな市場では、セグメンテーションの真逆で、オール・イン・ワン的なアプローチ(ここでは、それを「どんぶり」と表現)が効く。

事例:ライオンの「ソフトインワン」。過度にセグメンテーションされたリンス・シャンプーの市場で、「ちゃん リン シャン」のキャッチコピーでヒット。

まだまだ、セグメンテーションによって開拓市場が多いというのが大前氏の感覚。まとめ、「どんぶり」or「セグメンテーション」の軸でどちらに振れているか?という視点が面白い発想を生む





14. 時間軸をずらす


「コスト」が課題になった場合、時間軸をずらすことで良い発想が思い浮かぶそう。展開は、物品の価格だけでなく、維持・管理のコストなども含めてTCOで比べる。事例はGEヘルスケアのCT、KOMATSUの建機のような高額製品。末永く使えることが重要。ただ、発想としては、前述のニューコンビネーションって感じもする。

また、手元にお金がなくても開発をすすめるファイナンスの手法として、NPV(Net Present Value: 正味現在価値)をつかった香港国際空港の事例、PFI (Private Finance Initiative)という公共事業への民間資金活用手法の中のBOT(Build Operate Transfer)として、オーストラリアのメルボルン港の事例、が紹介された。


15. 横展開


「横展開」と聞くと、ある製品を別の顧客にも販売するとか、ある技術を別の領域にも適用するといったことを思い浮かべるが、本書での「横展開」は他業界から学びを得て自社の事業に活かす、という考え方。いかにもコンサルタントである大前氏の発想。事例としては、ZARAなどを展開するINDITEXはトヨタとFedExに学び、トレンドに合わせデザインから2〜3週間という製造、そしてスペインの片田舎の工場から、48時間以内に世界中のどこへでも製品を届けられる物流によって世界最大のSPAに成長したことが紹介されていた。


さいごに

以上、15の発想法が紹介されていた本書。最後に、日本の企業は欧米に追いつけ追い越せで成長してきたが、最近は1を1.2とか1.3にして行くことに始終しているが、Uberやairbnbのような企業は指数関数的に成長していると指摘。1から100にできるには最初からグローバル展開できるような国別展開にならない経営システムが重要と説いている。
また、企業内からの新規事業立ち上げでは、組織の工夫として、「上から文句を言われない仕組み」と「インセンティブ」が大切で、前者については「外部の巻き込み」が挙げられていた。

なかなか、会社の中にいるとゼロからイチというよりも、いまあるものを工夫して以下に新しいビジネスを作るか、というまさに1.2とか1.3の発想になりがちですが、本書を時折読み直して、ゼロイチの発想を身につけて行きたいと思いました。



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